部会長挨拶                      





  「熱き思いの継承」    高文連全国弁論専門部会長 大西 修夫

 平成26年度より前任の佐々木校長から高等学校文化連盟全国弁論専門部を託され、部会長に就任することとなりました。偉大な先輩諸氏が心血を注ぎ発展させてきた弁論専門部を引き継ぐかと思うと、任の重さを感じるとともに喜びでもあります。 

 私は三十数年前に偶然席が隣となった大竹先生[元専門部会長]の影響により、弁論指導に携わることとなり、以来今日まで高等学校文化連盟全国弁論専門部に関わってまいりました。この弁論活動を通して貴重な経験をさせていただくとともに、沢山の弁論指導者・弁士と知り合うことができましたこと改めて感謝申し上げます。

 さて、私がなぜ三十数年間も弁論活動に関わってきたかというと、周りにいた指導者の方々の弁論にかける熱意と真摯な取り組みに共感したこと。次に、いつの時代の弁士にも共通している澄んだ瞳に感動したからだと思います。彼らはその純粋な瞳で社会や身の回りで起きていることを見詰め考察し、自らの言葉で伝えるのです。420秒間に凝縮された言葉には力があります。人々を共感させるだけではなく、自らもその言葉に負けぬよう真剣に生きる姿はこの活動に携わった人であれば誰でも感じることでしょう。今後は偉大な先人から受け継いだ弁論専門部を守るだけではなく、発展させることができるように努めたいと思います。


平成27年度総文祭 滋賀大会 挨拶

滋賀県には日本最大の琵琶湖があり、古くから軍事や交通の要衝として重要な役割を果たした場所がいくつもあります。天智天皇が建都した近江大津京や織田信長の安土城、豊臣秀吉が初めて城主となった長浜城、井伊家の居城である彦根城と挙げればきりがないほどです。また、壬申の乱や姉川の戦いなど、歴史的な合戦の舞台としても知られており、数々の戦いの歴史が刻まれた場所でもあります。それらの歴史とはうらはらに、琵琶湖は満々と水をたたえ、静かに人々を見守り、美しい自然と豊かな恵みを生み出してきました。この自然に恵まれ、歴史と文化が息づく大津市で「第39回全国高等学校総合文化祭弁論部門」並びに「第6回文部科学大臣旗全国高等学校弁論大会」が開催されますことは、関係者の一人として同慶にたえません。
 さて、現代社会はグローバル化と情報化の進展により、人、物、カネは国境を越えて行き交い、インターネットなどにより、様々な情報が世界を駆け巡っています。
しかし、そんな世の中でも重要な情報や意見の交換は、顔と顔を突き合わせて行われています。相手の顔を見て、表情を読み、如何にして自分の考えを伝えるか。瞬時に情報を発信し、得ることが出来る時代だからこそ、視線を交わし、生きた言葉で、心を込めて伝える必要があるのです。また、世界は多様性に満ちています。唯一絶対のグローバル・スタンダードなどはありません。お互いの考え方や習慣の違いを理解した上で、自らの考えを分かり易く伝えることが求められています。そのためには、多様性を理解する教養を身につけ、伝える力を磨く必要があります。そういう意味では、色々な考えを持った人の話を聞き、自分も聴衆に考えを伝える弁論活動は、最も有効な修練だと言うことが出来るでしょう。この大津の地に集う、全国各地の予選を勝ち抜いてきた優秀弁士達が、日頃の練習の成果を存分に発揮し、悔いの残らない7分間となることを願います。
 結びに、本大会を開催するにあたりご尽力いただきました、滋賀県実行委員会の皆様、関係各位に感謝を申し上げ、挨拶といたします。ありがとうございました。